相続税法の大改正から間もなく3年です。
納税者が倍増したことから、相続を意識する人が増えてきたように感じます。
そこで、相続の相談をしたい人も増えているのですが、問題は相談相手です。
相続に関する問題は、相続の制度(主に法律)を知っているだけでは、判断できないものなのです。
どういうことかと申しますと、例えばお医者さんの世界。
患者さんは、医者の前で単に「先生、お腹が痛いんです。」とだけ訴えます。
そんなとき、医師は患者さんの様子や痛みの程度、痛みの箇所などから考えられる病気を想定し、患者との会話でその原因を解明しますよね。しかも瞬時に。
患者が医師に病名を伝えることはない。
また、医師が「あなたは虫垂炎ですか、腸炎ですか、胃炎ですか?」
などと聞くこともないですね。
医師は医学知識と経験から病気を特定していきます。
もちろん各種の検査で裏付けをとりながら。
しかし患者は病気を特定、説明してもらっただけでは満足しません。
目的は病気を治してもらうことなわけですから。
相続の相談も同じです。
相談する側とすれば、まずは相続の制度の説明など聞きたくないのです。
どうすれば良いのかというアドバイスをもらって、疑問、不安を解消したいのです。
「群盲象を評す」という萬話があります。
数人の盲人が象の一部だけを触って像について語り合う、というインド発祥の寓話ですね。
これは相続の専門家にも当てはまる方がたいへん多いのです。
自分が知っている一つ一つの知識は正しくても、所詮はすべてを熟知している訳ではないので、聞く側が求めている回答はなかなか出来ない。
若しくは間違えたアドバイスをしてしまう。
これは最悪ですね。
そして事例を知らなすぎる専門家があまりにも多いです。
たくさんの経験を積むのが一番ですが、少なくとも過去の事例を正しく多く知っていれば、経験値はかなりカバーできるのです。
相談をする場合、相談相手を間違えると将来思わぬ事態を招くことにもなりかねません。
昨今多い、自称専門家には注意しましょう。
JTLA 相続税しかやらない税理士 松井敬二