贈与契約書の落とし穴

相続税しかやらない税理士 松井 敬二です。

世を賑わせている節税対策の一つに生前贈与があります。
この生前贈与については前回も触れましたが、この生前贈与で大変気になる情報があります。

 
それは、『贈与契約書を作成しなさい』と主張する自称専門家のアドバイスです。

このアドバイス、贈与契約書があれば「生前贈与の証明になる」との誤解を招く恐れがあります。

そもそも契約書とは、契約当事者同士が後日の紛争とならないように契約内容を明確にするために作成する書面なのです。

 
言い換えれば、特に契約書を作成しなくても契約、つまり贈与そのものは成立するのです。

つまり、贈与契約書の作成は、贈与者と受贈者が贈与の内容を明確にするために作成する書面に過ぎないということです。

 
したがって、実際に贈与が行われたかどうかまでを証明するものではありません。

もし、贈与事実を証明する必要があるのであれば、現金などの場合は受贈者の口座に振り込みすれば十分証拠になります。

 
また、預貯金、有価証券、不動産などであれば名義変更をすれば良いことです。
贈与契約書は、あくまでも贈与契約内容を明確にするための書面であって、贈与事実を証明するものではないのです。

ところでこの贈与契約書の存在が思わぬトラブルを起こしてしまうことがあるのです。
それは、贈与契約書の存在により、生前贈与を受けていない相続人からの追及を受ける格好の材料になってしまう可能性があるということです。

 
何故だかお分かりになりますか?
相続開始後にその贈与契約書の存在が明らかになり、既に財産を貰っているとして遺産分割において紛争の種となることがあるのです。
 

贈与契約書を相続開始後の節税(税務)対策を目的に作成する場合、契約書は大切に保管されています。
従ってこの契約書の存在は他の相続人に当然知られてしまいます。

 
 
特に問題なのは、贈与契約書は作成したものの、その贈与事実の全部あるいは一部が実行されていなかった場合です。
実は、これ、大変多いのです。

契約書があるために、「私は貰っていない」といくら主張しても、他の相続人には全く通用しないことでしょう。

 
 
利害関係にある身内を説得することほど難しいことはないのです。
結局贈与契約書が争いの種となり、訴訟に発展するケースも少なくありません。

したがって、節税対策のために贈与契約書を作成するのであれば、贈与契約書に記載された内容どおりの贈与を確実に実行することが大切です。

ちなみにこの贈与契約書、税務当局においては重要視はされません。
贈与事実の有無がすべてなのです。

 
しかし決して贈与契約書の作成を否定している訳ではなく、実際に贈与が行われていて、その事実を明確にしておきたいために贈与契約書を作成することには意味があると思います。
 

以上のように、贈与契約書の作成が予想もしない事態を招く場合もありますのでご注意下さい。
テレビや新聞、有名な雑誌などにも、相続実務の実態を分かっていない自称専門家のいい加減な情報が氾濫しています。

 
 
生前贈与をお考えの方は、ぜひ一度、相続を本当に熟知してる専門家にご相談することをお勧め致します。
 
 
 
※近日中に45分にわたる相続に関する動画をお届け出来る予定です。
ご期待下さい。 
 

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