『後悔しない相続』  相続の開始を知った日

相続税のJTLAです。

朝晩はすっかり秋ですね。

今回は、相続税の申告期限についてお話します。

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相続税の申告期限が10ヶ月以内であることをご存知の方は多いと思います。
では、その10ヶ月というのは、いつから10ヶ月以内なのでしょうか?

殆どの方は、「亡くなった日から」と思っていませんか?

確かに、相続というのは、どなたかが亡くなった時に発生しますので、
そのように考えてしまうのが普通ですが、
実は、「亡くなった日から」ではないのです。

相続税法には、
「その相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に・・・」
と規定しており、
「亡くなった日から」としていないのです。

ちなみに「相続の開始を知った日」とは、
「自己のために相続の開始があったことを知った日」
のことをいうのですが、簡単に表現すると、
自分が亡くなった方の財産を相続できることを知った(知らされた)日が自分にとっての相続の開始の日」になります。

ところで、財産を相続できる人は、
その亡くなった方の財産を当然に相続できる権利のある法定相続人、つまり、殆どの場合、亡くなった方の親族(家族)ですよね。

そうすると、その家族の亡くなったことを
「知らなかった」ということはありませんよね。

では、なぜ「亡くなった日から」ではなく
「相続の開始を知った日から」なのでしょうか。

それは、亡くなった方の財産が必ず法定相続人にだけ相続されるとは限らないからなのです。

つまり、亡くなった方が、遺言などにより法定相続人以外の
例えば、息子の嫁とか遠戚者、
あるいはお世話になった知人、友人などが財産を相続する場合を考慮して「相続の開始を知った日から」
としているのです。

では、具体的な事例をお話しましょう。

個人事業を営んでいるAさんは、
自身の配偶者と共に一人っ子の長男家族と暮らしていました。

Aさんには、公私に渡り、大変お世話になった幼馴染のBさんがおりました。
Aさんには、相続税の申告が必要なくらいの財産がありました。

ある日、Aさんは病に伏し、入院を余儀なくされ、治療に専念しておりましたが、残念ながら退院することなく亡くなりました。

幼馴染のBさんは入院中に何度も見舞いに行き、
亡くなったことも知っていました。

当然、その後の通夜、葬儀にも参列しておりました。
Aさんが亡くなった1カ月後に、Aさんの遺言書が見つかり、
遺言書には「Bさんにも財産を与える」との記載がありました。

その結果、Bさんは、遺言執行者からAさんの財産を貰えることを初めて聞かされたのです。
その後、Bさんは、所定の手続きを経てAさんの財産を受け取りました。

以上の事例でお分かりかと思いますが、
Aさんの財産を相続できる人は、
Aさんの法定相続人であるAさんの配偶者と長男、
それに遺言で財産を貰うことになった幼馴染のBさんとの3人ですね。

では、この3人にとって申告期限はいつから10カ月なのでしょうか?

まず、法定相続人のAさんの配偶者と長男の2人は、
「亡くなった日」が「相続の開始を知った日」となります。

次に、幼馴染のBさんですが、
Aさんが「亡くなった日」は知っていますが、
Aさんが「亡くなった日」に
「自分がAさんの財産を相続できること」
を知りません。

Bさんは、遺言執行者からAさんの財産を貰えることを聞かされて初めて「自分がAさんの財産を相続できること」を知りました。
従ってその聞かされた日が「相続の開始を知った日」ということになります。

つまり、もし相続の開始の日を「亡くなった日から」としてしまうと、
「亡くなった日」から1ヵ月後にAさんの財産を貰えることを聞かされたBさんは、期間が短くなるなどの不都合があります。

そこで「亡くなった日から」ではなく
「相続の開始を知った日」としているのです。

(監修:税理士 松井敬二)

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